鈴井孝史ブログ

準認定ファンドレイザー,学びや気づきをシェアします

クラウドファンディングを何とか成功させた体験からわかったこと

先日プロボノでお手伝いしたクラウドファンディングが、ちょっとした困難を乗り越えて無事に目標達成しました。とても多くの学びを得たのでシェアしたいと思います。ほとんどファンドレイジング目線のお話です。

クラウドファンディング概要

私が関わらせていただいたのは「「貧困」だけじゃない!こども食堂のイメージ打破へ、新たな挑戦」という、こども食堂を支援するプロジェクト。

食べる・遊ぶ・笑うこども食堂

こども食堂は「貧困の子どもに食事を与える場所」ととらえることが多いと思います。でも、こども食堂の価値はそれだけでなく、「多世代が交流する地域の居場所」でもありますよ、ということを広めるため、従来のイメージを刷新するようなこども食堂を全国47都道府県で開催しようという試みです。NPO法人全国こども食堂支援センターむすびえと、東京おもちゃ美術館が協働しています。

特徴は
・目標金額は350万円、All or Nothing型
・期間は11月中旬から1月下旬まで
READY FOR SDGsによるマッチングギフト方式

・リターン重視ではなく寄付重視

クラウドファンディング成功の体験からわかったこと

スタートダッシュが本当に大切 

スタートダッシュ

Gerd AltmannによるPixabayからの画像

 

クラウドファンディングが成功した事例の多くはスタートダッシュができている、と言います。開始直後の数日で10%や20%に到達していると成功確率がぐっと高くなるのだとか。

ところが私たちのこのプロジェクトでは、初日と2日目で2%にいくものの、その後かなりじりじりして、SNSでシェア祭りを強くプッシュすることでなんとか、開始後16日ほどで10%までたどり着くという、スロースタートでした。

スタートダッシュがうまくいかないと、SNSで発信するときにも自信が持てなかったり、訴求ポイントに迷いが出てメッセージがぶれたりします。クラウドファンディングのプラットフォームでも目立たなくなるので、悪循環に入りやすいです。

スタートダッシュがうまくいくための条件は、強くてユニークなコピー、目を引き分かりやすいビジュアル(画像や動画)、魅力的なリターンの設計、そして発信者・起案者の信頼感、など多数あります。

実際私たちも期間の途中で、コピーの変更、画像の差し替え、メインメッセージの再構築、ということを行いました。途中でやらずに済むように、支援者のペルソナを立ててヒアリングを重ねるなど、コピーやビジュアルを磨くこの大切さを改めて痛感しました。

有名人強し

いわゆるインフルエンサーはなんだかんだで強いですね。このプロジェクトの代表は湯浅誠さんですが、湯浅さんがSNSシェアすればリーチ数など桁が違ってきます。そして、フローレンスの駒崎弘樹さんと湯浅さんの対談記事を公開した時も、多くの方がページを訪問し支援につながりました。

readyfor.jp

有名人ではないにしてもSNSで強いプチインフルエンサーさんは結構います。私たちの場合、応援写真として様々なステークホルダーの方々のお写真(企画のロゴとリターン品と一緒の笑顔の写真)をSNSで日々公開していました。その時に、そのご本人や関係者がシェアしてくれてリーチ数がぐんと伸びることもあります。

アプローチ手段は多数必要

当たり前といえば当たり前ですが、クラウドファンディングを伝える媒体は多数必要です。発信者の切り口でわけて、起案者自身、コラボ団体、有名人支援者。媒体の切り口でわけて、SNS(FB,TW,etc)、メルマガ、DM、プレスリリース、その他。当然、読み手も異なるので、それぞれに合わせたメッセージが必要です。

今回の経験ではスタートダッシュ時点で「実際どんな人に、どんなふうに響くのか」の手応えを感じられずにいましたが、進めていくうちに徐々にわかってきました。このように試行錯誤でき、リソースを適切に投下するためにもアプローチ手段は複数走らせておく必要があります。

アプローチ手段は多数必要

StartupStockPhotosによるPixabayからの画像

リモートでのチームワークは可能だ

ここで組織論の話になりますが、今回私は、このプロジェクトメンバーの誰ともリアルで会ったことがありません。全体統括担当の方とzoomでのMTGを1回、そのほかSNS担当の方々と音声のみMTGを2,3回、他はチャットアプリとメールのやりとりのみです。全員が本業を他に持ち、それぞれの参加動機があり、それぞれ可能な範囲でコミットしています。共通の目標(=クラウドファンディングを成功させること)の下に、難しい局面でも、励まし合ったりアイデアを交換したりしてゴールに向かってきました。

もちろんリアルに会って、人柄やコミュニケーションの特性を知ったり、バックボーンを知ったりしたほうが、より早くより円滑になるかなとは思いましたが。

 

次が楽しみです

クラウドファンディングは近年非常に活発で、ファンドレイザーとしては必ず使う手法になると思いますが、とても良い経験をさせていただきました。この経験を役に立て他の場面でも挑戦してみたいと思いました。