鈴井孝史ブログ

準認定ファンドレイザー,学びや気づきをシェアします

募金詐欺?炎上から考えるファンドレイジング行動基準とは?

今日は「ファンドレイジング行動基準」について考えてみたいと思います。

きっかけは、キングコング西野氏「3億借金。募金して」で炎上

炎上芸人さんが自身の作品をテーマにした美術館を建設するために3億円を借金したとして寄付を募るも、その方法が詐欺まがいだとして批判され、謝罪に追い込まれたという一件です。

キングコング西野亮廣が美術館建設を口実に「3億円募金詐欺未遂」の顛末 (1)ページ | 世の中を見渡すニュースサイト New's vision(ニューズヴィジョン

キングコング西野氏といえば、絵本『えんとつ町のプペル』の製作費や無料個展のためのクラウドファンディングで数千万円を集めたり、晴れ着トラブルにあった新成人にリベンジ成人式をプレゼントしたり、あっと驚く話題を作り、人々を巻き込み、お金の集め方も使い方も大変ユニークで、その言動に刺激を受ける人も多いことでしょう。

しかし今回ばかりは度が過ぎたようです。では、どこがまずかったのか、どうすればよかったのか、やや強引ですがw、ファンドレイジングのあるべき姿という観点に引き寄せて考えてみました。

 

ファンドレイジング行動基準とは

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日本ファンドレイジング協会が2011年に定めた「ファンドレイジング行動基準」というものがあります。策定にあたっての考え方は次のとおり。

寄付者が寄付という行為を通じて、社会にどう参画できるのかについての考え方や、寄付の受け手側のルールについては、これまで十分に整理されているとはいえず、そのことが、より寄付が進むうえでの課題のひとつとなっています。(中略)

ファンドレイジングに関わる皆さまが、寄付者の権利を尊重し、寄付集めのルールを守ることで、寄付をする人たちと寄付を集める人たちとの間の信頼関係が構築されていくことを願っています。

「ファンドレイジング行動基準」を発表します。 | ニュース | 日本ファンドレイジング協会

社会貢献への関心の高まり、寄付への関心の高まりにあわせ、寄付者の権利、寄付を受ける側の行動原則や行動規範を整え、日本の寄付文化を醸成していこうというものです。

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ファンドレイジング行動基準に照らして考える

  • 法令を守ることに加え、倫理的に正しく行動する
法令を守るのはもちろんで「倫理的に正しく」というのがポイントかと思います。今回、西野氏のブログでは、誇張された表現、恐喝的な表現、煽った表現が多用されています。まぁ炎上芸人なのでよくあることなのかもしれませんが…。ファンドレイザーでありたければ、襟を正して、誠実にものを言うことが必須ですね。
 
  • その目的及び集めた資金の使途について、事前に正しく説明を行う
寄付金の使用目的をわかりやすく正確に、そして事前に説明する必要があります。エンタメ番組のノリで、おもしろ企画をぶち上げて、炎上しつつバズらせる!みたいなこととは、だいぶ温度感が違いますね…。そこは落ち着いてやりましょう。
 
  • 寄付者に説明した目的通りにその寄付金を使う
例えばクラウドファンディングでは資金の使用目的の記載は最重要項目ですし、プロジェクト遂行上のリスク等も説明されていたりします。実行プロセスをオープンにして支援者に見守られながら活動を進めることが重要だと思います。
 

不正な募金は詐欺、ということ

ファンドレイジング行動基準と照らして考えると、その派手な言動はだいぶ離れた次元にあったように思われます。「募金を不正に集める詐欺」というのも最高裁判例がありますので、こうしたことは注意しなければいけません。
募金詐欺については、基本的に「無い話をでっち上げて同情や関心を煽り、金品浄銭を集め詐取する行為」(消費者問題に詳しい弁護士)であり
(上記やまもといちろう氏記事より引用)
ただ、表現の問題だけでいえば、熱狂的な支持者が、発案者のオンラインコミュニティなどに集い、そうした人々に向けた言葉として、誇張のような表現や恐喝的な表現がいろんな意味で効果的だった場合、白黒はっきりしない部分はあるのかもしれません。「ファンドレイジング行動基準」も時代や社会環境に応じたアップデートが必要なのかもしれません。
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とりあえずネットの炎上事案から多くを学べたことは収穫でした。今日も読んでいただきありがとうございました。