【本のレビュー】ミライの授業|瀧本哲史
1月ももう4週間も過ぎようとしていますが、今年初めてのブログで、久しぶりに本の紹介です。『ミライの授業』という本を読み、とてもおもしろかったのでシェアします。
読んだきっかけ
正月に実家に帰った時、中学1年生の姪っ子に突然質問されました。『ねぇ、なんで子どもの時、勉強したの? 私が今やっている勉強って意味あるの?』
中学生くらいの時、誰でも一度は考えたことがあるだろう、定番の疑問です。定番であり、なかなか答えの出にくい問いかもしれません。私は私なりに真剣に考えて姪っ子の質問に答えましたが、みなさんならどう答えるでしょうか。
これまで幾度となく繰り返されているこの疑問へのヒントは、本になっているはずだ。そう考えて検索してヒットし、その姪っ子にも勧めた本のうちのひとつがこれ。
印象深かったところ
未来を志向している
冒頭、こんな感じで始まります。
14歳のきみたちに、知っておいてほしいことがある。
きみたちは、未来に生きている。
そして大人たちは、過去を引きずって生きている。
きみたちは未来の住人であり、大人たちは過去の住人なのだ。(中略)
残念ながら大人たちは、自分が夢見た21世紀を、実現できなかったのだ。
この本は14歳前後の人たちに向けて書かれています。大人たちは過去の住人、と言い切って切り離すことで、とても軽やかに、未来を志向する学びのステージにいるような気分になります。(大人の私もそう感じるのです)
5つの「未来をつくる法則」
そして、愚者は経験に学び、賢者は歴史に学び、ということで、さまざまな「世界を変えた人たち」の生き方や考え方から「未来をつくる法則」を具体的に紹介しながら本は進んでいきます。
法則1:世界を変える旅は「違和感」からはじまる
法則2:冒険には「地図」が必要だ
法則3:一行の「ルール」が世界を変える
法則4:すべての冒険には「影の主役」がいる
法則5:ミライは「逆風」の向こうにある
例えば「違和感から始まる」の例として、フローレンス・ナイチンゲール。おそらく世界で最も有名な看護師です。しかし、たたひたすら看護に尽くしただけの女性ではありません。ナイチンゲールが戦場の病院で見た現実。
戦場の兵士たちは、戦闘によって亡くなるのではなく、劣悪な環境での感染症によって亡くなっていくのだ。それがナイチンゲールの結論でした。(中略)そこでナイチンゲールが使った武器が、看護師の道に進む以前、ずっと学んできた数学であり、統計学だったのです。
あるいは「一行のルールが世界を変える」例として、嘉納治五郎。柔道の創始者、日本スポーツを一変させた偉大な人として今も多くの人の尊敬を集めています。
嘉納治五郎の柔道は、それまで「見て学べ」「からだで覚えろ」ばかりだった柔術の稽古に、さまざまな改革をもたらします。(中略)彼は「ルール」をつくることで、マイナーな格闘技に過ぎなかった柔術を柔道に変え、世界に認めさせたのです。
このように世界を変えた20人の人生からさまざまなことを学ぶことができます。
読後の感想
本当にこれはすべての中学生に読んでほしい。自分も中学生のときに読みたかった。瀧本哲史さんの他の本もそうですが、とても勇気づけられる、とてもワクワクする内容です。そして最後には、読者一人一人の背中を押すようなまとめになっています。読後感もとても爽やか。これからのミライをつくる人たちにぜひ読んでもらい、過去の住人の大人をすっ飛ばして、未来をつくっていってほしいと思いました。
以前読んだこの本ももう一度読みたくなりました。